Title

「第40回中東協力現地会議」 開催報告 (PDF資料を掲載しました)

  • ■ 開催日:平成27年8月27日(木)、28日(金)
  • ■ 開催地:ドイツ連邦共和国・ミュンヘン
  • ■ 会 場: Hilton Munich Park
  • ■ テーマ:中東・北アフリカの混迷、原油市場と日本のビジネス機会
  • 中東協力センターは、経済産業省後援、(一財)日本エネルギー経済研究所・中東研究センターの協賛により、2015年8月27日、28日の二日間の日程で、ドイツ連邦共和国・ミュンヘンにおいて第40回中東協力現地会議を開催しました。

目的

本会議の目的は、中東・北アフリカ各国及び同関連地域に駐在の方々と、日本から参加される政府当局、民間企業、関係機関・団体等の方々が一堂に会し、その時々の政治・経済・社会情勢を踏まえ、我が国と中東・北アフリカ地域との協力関係のあり方やそれを具現化するためのアプローチについて議論するものです。

議論のポイント

  • 今年の会議は『中東・北アフリカ の混迷、原油市場 と日本のビジネス 機会 』をテーマに、多彩な講師の方々によるプレゼンテーション、ご報告をもとに下記の点を中心に熱心な議論が繰り広げられました。
  • 1.中東・北アフリカ情勢
  • ■ 2011年の「アラブの春」と呼ばれた変革の中で、「近代国家」に成熟できていなかった中東各国の秩序は激しく揺さぶられてきた。特にシリアを拠点にイラクでも「領域支配」を行うようになった自称「イスラム国」、ISの勢力拡大は、宗派間・部族間の対立や膨大な貧困層の存在を始めとする<発展の失敗>の「結果」である。今の中東情勢は、短期間には収束することが困難な秩序再編の過程に入っている。
  • ■ イランの核協議合意は中東の地政学に大きなインパクトをもたらすものであり、イランが国際社会で再び抬頭することになれば、(慎重に見極める必要はあるが)ISに対する共同対処を含め中東での秩序改善につながる期待もある。
  • 2.下落した原油価格の水準と影響
  • ■ 供給過剰に起因する昨今の原油価格の低迷は、石油収入に依存する産油国経済に大きな影響を与えている。IMFの試算では、現在の価格水準が継続すると、GCC諸国は3,000億ドル(名目GDPの21%)以上の歳入減に見舞われるとしている。需給がバランスするには数年を要し、それまでの原油価格について、市場は1バレル60ドル程度の水準で推移すると見ている。このような状況で、中東産油国は、これまで以上に脱石油依存、産業の多角化を図る方向を目指しており、日本としてもこれに応えて多面的な協力を進めていくことが双方にとっての利益となる。
  • 3.日本にとってのビジネス機会
  • ■ 中東・北アフリカはASEANを凌駕する市場である。石油・ガス(油田・ガス田開発、大型製油所新増設・更新等)に留まらず、電力(発電・送電)、水(海水淡水化、排水処理)、交通(メトロ)、省エネ(空調、照明等)といった日本が得意とする分野でのビジネス機会の拡大が見込まれる。また、糖尿病などの医療、ヘルスケア市場も高い成長を続けている。
  • ■ 石油収入の低下は、選択と集中により大型プロジェクトの遂行に影響を与えているが、日本は技術力のみならず、ファイナンス力で貢献する余地がある。
  • ■ イランの核協議の合意により、約7,800万人の市場が国際社会に再び開かれることを大いに期待する。
  • 4.中東協力現地会議で出された要望
  • ・ 官民一体のトップセールスのさらなる強化
    ・ 政府レベルでの継続的な関係強化、特にサウジやカタール等の中東の新世代指導層との関係構築
    ・ 公b的金融機関(JICA、JBIC、NEXI)の制度金融の拡充
    ・ 中東産油国政府機関への専門家派遣
    ・ 規制緩和の働きかけ及び投資協定の締結推進等による中東・北アフリカ諸国のビジネス環境整備
    ・ セキュリティ対策強化 等

成果

今年の会議には日本、中東・北アフリカ地域、欧州から約300名の参加を得、活発な議論が行われました。その結果、自称「イスラム国(IS)」の問題や核協議合意後のイランの動向、原油価格低迷の原因と今後の動き等に関する考察を行うと同時に、係る中東・北アフリカ地域の地政学的変化を踏まえたビジネス機会について議論することができました。
そして、第40回中東協力現地会議で議論された上記ポイントについては、平成27年9月下旬に中東協力センターの奥田会長から経済産業大臣に報告し、日本政府のさらなる協力をお願いいたしました。

中東協力センターと致しましては、機会を捉えて、皆様から寄せられた要望を政府・関係機関にお伝えすると共に、中東・北アフリカの政府関係機関・企業との交流等を通じて、ビジネスの機会が増加するよう一層努めてまいります。また、日本からの投資の促進、人材育成への貢献を通じて、中東・北アフリカ諸国との間に真のWin-Win関係が築けるよう、精進して参る所存です。

1976年に第1回の中東協力現地会議をトルコ共和国・イスタンブールで開催し、今年で第40回という節目を迎えた本会議は、昨今のセキュリティ事情も勘案し、久しぶりにヨーロッパでの開催となりましたが、約300名のご参加をいただきました。二日間にわたる本会議に熱心にご参加いただきました各位に厚く感謝申し上げます。

第40回中東協力現地会議プログラム

『中東・北アフリカの混迷、原油市場と日本のビジネス機会』
平成27年8月27日(木)、28日(金)ドイツ連邦共和国・ミュンヘン Hilton Munich Park

プログラム 一日目:8月27日(木)
開会挨拶 (一財)中東協力センター会長    奥田 碩
来賓挨拶 駐ドイツ大使    中根 猛 氏
基調講演Ⅰ 『日本経済の展望と今後の中東政策』
経済産業省 経済産業審議官    上田 隆之 氏
資料
(PDF)
休 憩
基調講演Ⅱ 『2015年の世界認識とエネルギー地政学の変化』
(一財)日本総合研究所 理事長    寺島 実郎 氏
資料
(PDF)
昼 食
講演Ⅰ 『新しい中世か? 中東秩序の変動期を読み解く』
東京大学先端科学技術研究センター准教授    池内 恵 氏
資料
(PDF)
講演Ⅱ 『How ISIS threatens the state system of Iraq, Syria and the Middle East?(仮)』
Dr. Fawaz A. Gerges, Emirates Chair of Contemporary Middle Eastern Studies, Professor of International Relations, London School of Economics (LSE)
休 憩
基調講演Ⅲ 『中東・北アフリカ情勢』
外務省 中東アフリカ局 審議官    岩井 文男 氏
資料
(PDF)
カントリーレポート
駐モロッコ大使     黒川  恒男 氏 資料(PDF)
駐トルコ大使    横井 裕 氏 資料(PDF)
駐イラン大使    羽田 浩二 氏 資料(PDF)
駐エジプト大使    香川 剛廣 氏 資料
(PDF)
懇親会
プログラム 二日目:8月28日(金)
基調講演Ⅳ 『中東の権力変動と新地政学』
東京大学名誉教授・明治大学特任教授    山内 昌之 氏
資料
(PDF)
講演Ⅲ 『原油をめぐる最近の動向』
(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)理事    藤野 真司 氏
資料
(PDF)
休 憩
講演Ⅳ 『Dark-adapted eye: The impact of low crude prices and the outlook for the oil market』
Dr. Paul Horsnell, Head, Commodities Research, Standard Chartered Bank
資料
(PDF)
昼 食
ビジネスレポート UAE    三菱商事(株)中東・中央アジア統括事務所長    星野 守 氏  
クウェート    丸紅(株)クウェート出張所長    森田 茂 氏 資料
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モロッコ    三井物産(株)カサブランカ事務所長    本吉 洋 氏 資料
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政府関係機関報告 (独)日本貿易振興機構(JETRO)副理事長    宮本 聡 氏 資料
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(株)国際協力銀行(JBIC)執行役員    林 健一郎 氏 資料
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(独)日本貿易保険(NEXI)理事    小山 智 氏 資料
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(独)国際協力機構(JICA)理事    市川 雅一 氏  
休 憩
パネルディスカッション:『中東産油国経済と日本のビジネスチャンス』 モデレーター:(株)日本経済新聞社 コラムニスト    脇 祐三 氏 資料
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外務省 中東アフリカ局 審議官    岩井 文男 氏
日揮(株) 代表取締役社長   川名 浩一 氏 資料
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三菱商事(株) 常務執行役員 中東・中央アジア統括    吉川 惠章 氏
【(一社)日本貿易会 市場委員会 委員長会社】
資料
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(一財)日本エネルギー経済研究所 常務理事    田中 浩一郎 氏 資料
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閉会挨拶 (一財)中東協力センター理事長   松永 和夫